堀田貴子 福岡市出身





管理栄養士。1998年、旧久住町職員になり、合併で現在は竹田市健康増進課勤務。親子や小学生を対象に料理教室を開いたり、家庭料理の良さを再認識するイベントを企画したりしています。

食育をテーマにした「よみうり・西部フォーラム」大分会議

(読売新聞西部本社主催)を受け、フォーラムのパネリストを務め

現在読売新聞に「わくわくレシピ」の連載を持つ。 


秋の味覚 栗の渋皮煮 ◆実と一緒に食べて栄養満点



栗の渋皮煮と甘露煮(左)

 栗(くり)の守りは堅い。手や足に刺さると、とても痛いイガイガ、硬い鬼皮、そして渋皮。渋皮をむくと、白い実が現れます。実は森の動物たちも大好きです。熟す前に食べられないように保護されています。

 守りを破り、料理するのは大変です。今回は、渋皮のままなので一手間省けると思うかもしれませんが、そう簡単ではありません。日本の栗は、鬼皮と渋皮がしっかりくっついており、軟らかい渋皮だけ残してむくのは難しいからです。でも、頑張ったかいがあります。

 抗酸化作用があるタンニンなどのポリフェノール類や、ビタミン類、亜鉛をはじめとするミネラル、食物繊維。渋皮には体に必要なものが、たくさん含まれています。昔の人は健康によいことを知り、実と一緒に食べるようになったのでしょう。

 実には消化のよいでんぷんが多く、胃腸の機能を高めてくれます。カロリーが高く、少し食べるだけでエネルギー補給に役立つので、渋皮煮は子どもやお年寄りのおやつにも最適です。

 栗は、中国やヨーロッパでも秋の味覚として親しまれていますが、日本のものが一番大きく、味も上品です。栗ご飯、甘露煮、栗きんとん……。いろいろな料理を楽しめます。茹(ゆ)でるだけでもおいしい。

 ≪わくわくポイント≫

 その一 「イガイガはどんな風にできるの?」。子どもたちの疑問に答えましょう。雌花の一部(がく)が実の赤ちゃんを包み込むように伸び、固くなっていきます。来年、花の時期から子どもたちと観察しよう。

 その二 鬼皮は、ぬるま湯につけると軟らかくなります。包丁を使い、渋皮を傷つけないようにはいでいく。友だちと口も動かしながら時間をかけて下さい。でも、話に夢中になってけがをしないように気を付けて。

 その三 お茶の供を楽しんだら残りは正月用に保存。おせち料理のはし休めにぴったりです。その前に味見をしすぎると、なくなってしまいますよ。